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小田原城のマツ、箱根関所のスギ、一夜城のサワラ、間伐のヒノキ2013年3月25日

樹齢400年を超える杉の製材に立ち会いました。
製材工三代目の大山謙司さんによると、
江戸時代から箱根の関所に立っていた「ちょんまげも見てきた杉」だそうです。

小田原・箱根地域は、その地勢がもたらす多種多様な森、樹種を背景に、
東と西から様々な木が集まる「木の玄関口」としての役割を担っていました。
このため、木工、漆器、寄木などの伝統木工技術をはじめ、
要人の別邸などの近代木造建築といった「木の文化」が花開いた地域です。

小田原市役所では、
こうした地域の文化を市民の方々や小田原を訪れる方々に伝えていくために、
市庁舎の総合案内所を、「木の玄関口」としてリニューアルします。
使われる材木は、先人たちが植え育ててきた、由緒正しい地場産の木です。

「江戸時代に植えられた小田原城のマツ」
「箱根の関所に立っていた樹齢400年超のスギ」
「台風により倒れた一夜城のサワラ」
「森の再生のために間伐された小田原のヒノキ」

地場材オールスターズですね。
身近な場所で人々を見守ってきた四種の材が、
それぞれの個性を持ち寄って、ひとつのカウンターを作ります。
小田原箱根地域の木工技術である「寄せ木」の心です。

製作に関わる人たちも、小田原オールスターズ。
製材工として38年となる大山謙司さんが、
巨大な丸太を相手に、素性を見極めながら製材を手掛けます。

棟梁は文化財修復師である芹澤毅さん。
芹澤さんは、京都の安井杢工務店の安井清氏に数寄屋建築の神髄を学び、
神社仏閣、小田原城住吉橋や清閑邸修復にも携わっています。
木だけでなく、和紙や竹、和釘など素材のあしらい方のセンスが素晴らしく、
ディテールの納め方は、自然でありながらヒト癖あり無難に終わらせません。
洗練された数寄屋の美学によって、木の節にまで新しい命を吹き込んでいきます。

プランニングとデザイン、小田原箱根地域の物産展示のコーディネートは、
ヨウデザインが担当します。

そして先日の工事初日。
小田原市役所の永井壯茂さんのリーダーシップのもと、
その人なつこい笑顔の裏の「絶対に妥協しない実行力」に共感した人たちが、
次から次へと現場に集まってきます。
様子を見にやってくる関係者の方々も後を絶たず、道具を手にして
「ちょんまげ杉」の浮造(うづくり)加工を手伝っていきます。

明日の閉庁後が工事二日目。
もうすぐ完成です。

小田原市では、毎年3月に植樹祭を行っています。
今年は家族や友人と参加。
子どもにはじめて読んで聞かせた絵本「木はいいなあ」は、
主人公が最後に木を植えるのですが、その日はまるで絵本の中のような、
思い出に残る一日でした。木はいいなあ。