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古い帯で作る子どものドレス2012年1月27日

「(幼稚園の)誕生日会にはドレスを着ていかないとだめなの」
いつも男の子からもらったお下がりを着て、黒無地のスニーカーを履いて、
生まれてこのかた、産毛まじりのベリーショートの娘が、そう言いました。

毎月行われる誕生日会の日に、女の子達が華やかなドレスを着ているのを、
度々見かけてはいましたが、よくよく話を聞いてみると、
誕生月にあたる女の子は、「みーんなドレスを着て」登園するらしいのです。
けれども、子どもの「みーんな」は、あてにならないもの。

念のため、ママ友にも確認。

娘の話は本当でした。
四月から九回行われた誕生日会において、誕生月の平服女子は皆無。
それぞれにおめかしをした子ども達は、ひとりひとり名前を呼ばれて、
ステージにあがり、大勢のお友達にお祝いをしてもらうそう。

そうか娘よ。それはさすがのあなたも気が付くというもの。
でもね娘よ。親が言うのもなんだけど、どうもレースがしっくりこない、
やたらフリルが浮いてしまう、そんなあなたにドレスと言っても…。

と、娘の地味な和顔を眺めながら思い浮かんだのがこれ。

古い帯をほどいてドレスを作りました。
厚手の絹生地に金糸の刺繍という贅沢な素材ながら、
控えめな光沢と古典柄が、日本人の顔のつくりに馴染みます
型紙は、手持ちの服の身頃と、借りてきた洋裁本の袖の形を、
紙に写し取って、継ぎ接ぎして作りました。

反物から生まれる和服は、ほどけばまた反物に戻ります。
自然の恵みを無駄にしない日本人の知恵が作りだした、スローファッションです。

この帯をほどいて反物に戻したとき、これを斜めに裁ったら最期、
その命をここで終わらせてしまうような気がしました。
せめて、大きな刺繍には一切ハサミを入れず、丈を裁つだけにしようと、
スカート部分の型紙を作り直し、端ぎりぎりを手縫いで仕上げました。
これなら、スカートをほどけば、刺繍を生かした何かに生まれ変わります。

幼稚園の誕生日会で、娘のドレスを一番褒めてくれたのは、
ちょうど来日していた、アメリカ人のクラスメイトのおばあちゃんでした。