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米+木粉=天然パテ

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家具を製作していると、組み手の継ぎ目に隙間があいたり、
木の表面に、ごく小さなひび割れが見つかることがあります。
そんな時、強度的に問題がなければパテで丁寧に埋めて仕上げます。

一般的には、市販の合成樹脂パテが使われますが、
米と木紛だけで、天然のパテを作ることができます。
「刻苧(こくそ)」といい、刻苧で埋めることを、「刻苧をかう」といいます。
刻苧の歴史は古く、仏師や漆職人が木彫像や木地の凹みや傷を補修するために、昔から用いてきた方法です。

作り方はとても簡単。
材料はいつも通りに炊いたご飯と、埋めたい部分と同じ樹種の木紛。
木紛は、目の細かい鋸(胴付鋸)で挽いて出る微粉末か、
目の細かい金属やすりで削って出る微粉末のいずれかが良いでしょう。
木紛の粒が細かいほうが、表面が滑らかに仕上がります。
紙やすりで研磨して出る木屑には、研磨材の粒が混ざってしまうので不適です。

 

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ご飯と木紛は、ヘラで丁寧に練り合わせます。要根気。
ご飯粒と木紛が均一に混ざり合ったら、
隙間やひび割れにしっかり押し込んでいきます。
水分が蒸発するとパテ自体が肉痩せしますから、
少し盛り上げるように埋め込んで、そのまま乾燥させます。
しばらく置いて乾燥したら、やすりで平らに仕上げます。

 

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ひび割れ(写真左)も、刻苧をかうと違和感なく補修できます(写真右)。
本体と同じ樹種の木紛を使うので、色の差なく自然に仕上がりますし、
合成樹脂パテと違って、どんな着色剤もはじくことがありません。
そして何より、身近にある自然のものだけで出来ているという安心感。
残った刻苧は、湿らせた布で包んでおけば一日くらい保存できます。

私が通っていた職業訓練校では、お弁当の蓋を開けるとまず、
数粒のご飯を取り分ける、という光景があちこちで見られました。

今日は、刻苧を作るために白米を炊きました。
試したことはありませんが玄米は不向きですね、きっと。

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